DOOR

「焦ってる？」

問いかけられた一言に、心臓が早鐘を打ち始めるのがわかって戸惑いました。

8月下旬にもお世話になった先輩に同行させていただきました。
「今日は早く帰ろう。14時過ぎにはホテルに送るから。」
そう言われた時には正直ショックでした。
言外に、邪魔だ、と言われたような気がして。
夜遅くなるよりは早く帰れた方がうれしいです。
でも14時って、早すぎます。
やっぱり新人同行ってイヤなのかな、わたしって迷惑なのかなって考えてしまって。

「同行より勉強したいでしょ？」
先輩がそうおっしゃるのもごもっとも。
わたしたち新入社員にとっての重大イベントである試験は約１ヵ月後に迫っています。
寝食の間も惜しんでテキストとにらめっこしていなければならないのでしょう。
最近のわたしは全然、勉強する気が起こらなくて困っているのですが(苦笑)

「俺が今日は調子が悪いから早く同行を終わらせたいっていうのもあるけど、
　8月の時と比べて、秋月さん、様子がおかしいなぁって思ってさ。
　稼働のことをいろいろ教えてあげても、あんまり頭に入ってないでしょう？
　…　焦ってる？」

はっきりと言葉にして相談をもちかけた上司たちでさえ、
わたしの不安や焦りに向き合ってくれる人はいなかったのに、
3年目のこの先輩は隣に座っているだけで、
何も言わなくても気付いてくださったことが、うれしいような申し訳ないような。

そして、わたしの脳は「危ない」と警告を発しているのです。
過去にも一人、いたのですよ。
誰にも気付かれることない、わたしの核心をずばっとついてくる人が。
えぇ、みなさんにはすっかりお馴染みかもしれない例の彼です。
だから、この先輩のそばにいることが怖いんです。

わたしはまだ、壊れたくないから　…　

♪ コブクロ