with five senses
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《新作小話です》
ただいまの時刻は5:45
休日はワクワクするから早く目が覚めてしまう。
いや、訂正。
今日は君に会えるからドキドキして眠っているのがもったいなかったんだ。
俺のことを遅刻常習犯だと思っている仲間たちはきっと口をあんぐりさせて驚くだろう。
アラームをセットしていた時間よりもずっと早く起床したので、ちょっとしたサプライズを仕掛けてみることを思いついた。
俺が君を迎えに行く(と言っても最寄駅までだけど)。
たまにはそんなことがあってもいいだろう?
こういうことも何だか新鮮でいいだろう?
君が住む町を訪ねるのは、実は今回が初めてだったりする。
だからホームに降りて、改札口が一つしかないと分かって少しほっとしたんだ。
携帯サイトの乗換え案内を使って、待ち合わせ時間から君の出発時間を逆算したから
そろそろ君が現れる時間だってことは見当がついている。
ほら、今年の流行色のワンピースを来たあの子!
俺が大きく腕を振ると君は両手で頬を包んで驚きの声をあげたようだった。
慌てなくてもいいのに君は小走りで俺に駆け寄ってくる。
君に満たされると同時に、もう独りでは生きていけなくなった自分に気付いて今までになく切なくなる。
「えっ!?どうしたの~
わざわざここまで来てくれたの?」
「しばらく会えなかったから少しでも一緒にいる時間が長くなればいいと思ってさ。」
どんなに忙しくても週に一度、土曜の夜に必ず会うようにしていたのに
勤務形態の変更でそれが叶わなくなってから約1か月。
全ては俺の都合のせいなんだけど、そろそろ限界だった。
逢おうと思えば会える距離にいるのに逢えないことは、諦めがつきにくいだけに遠距離恋愛よりも切ない。
「ありがと」
俺の笑顔が君にうつる。
二人並んで座って電車に揺られる。
この感じ。
最高に気持ちいい。
君の独占権を手に入れた俺は、かなりはしゃいでいた。
いつもよりいっぱい喋ったかもしれない。
波の音、風の音。
君の気配、二人の空気。
全てが心地よかった。
目の前に広がる太平洋が俺の欲望を剥き出しにしていく。
とりあえず歌ってみた。
君は俺の背中を見ながら笑っていた。
それから歌って歌って歌って。
ふと左肩にかかってきた柔らかな重み。
携帯の上でせわしなく親指を動かしていたはずの君は帰りの電車でいつのまにか眠っていた。
寄り添ってくる温もりに愛しさが募る。
ぎゅっと抱き寄せたくなる衝動を抑えて、読みかけになっている文庫本のページをゆっくり捲った。
またしばらく逢えない日が続くかもしれないけれど。
君を迎えに来れるのは先の話になってしまうけれど
そう遠くない未来にいつかきっと。
左肩にかかる重みと温もりが二人の当たり前になるように。
いまもいつまでも
この愛が打ち寄せる海岸は
広い世界に一つだけ
ただいまの時刻は5:45
休日はワクワクするから早く目が覚めてしまう。
いや、訂正。
今日は君に会えるからドキドキして眠っているのがもったいなかったんだ。
俺のことを遅刻常習犯だと思っている仲間たちはきっと口をあんぐりさせて驚くだろう。
アラームをセットしていた時間よりもずっと早く起床したので、ちょっとしたサプライズを仕掛けてみることを思いついた。
俺が君を迎えに行く(と言っても最寄駅までだけど)。
たまにはそんなことがあってもいいだろう?
こういうことも何だか新鮮でいいだろう?
君が住む町を訪ねるのは、実は今回が初めてだったりする。
だからホームに降りて、改札口が一つしかないと分かって少しほっとしたんだ。
携帯サイトの乗換え案内を使って、待ち合わせ時間から君の出発時間を逆算したから
そろそろ君が現れる時間だってことは見当がついている。
ほら、今年の流行色のワンピースを来たあの子!
俺が大きく腕を振ると君は両手で頬を包んで驚きの声をあげたようだった。
慌てなくてもいいのに君は小走りで俺に駆け寄ってくる。
君に満たされると同時に、もう独りでは生きていけなくなった自分に気付いて今までになく切なくなる。
「えっ!?どうしたの~
わざわざここまで来てくれたの?」
「しばらく会えなかったから少しでも一緒にいる時間が長くなればいいと思ってさ。」
どんなに忙しくても週に一度、土曜の夜に必ず会うようにしていたのに
勤務形態の変更でそれが叶わなくなってから約1か月。
全ては俺の都合のせいなんだけど、そろそろ限界だった。
逢おうと思えば会える距離にいるのに逢えないことは、諦めがつきにくいだけに遠距離恋愛よりも切ない。
「ありがと」
俺の笑顔が君にうつる。
二人並んで座って電車に揺られる。
この感じ。
最高に気持ちいい。
君の独占権を手に入れた俺は、かなりはしゃいでいた。
いつもよりいっぱい喋ったかもしれない。
波の音、風の音。
君の気配、二人の空気。
全てが心地よかった。
目の前に広がる太平洋が俺の欲望を剥き出しにしていく。
とりあえず歌ってみた。
君は俺の背中を見ながら笑っていた。
それから歌って歌って歌って。
ふと左肩にかかってきた柔らかな重み。
携帯の上でせわしなく親指を動かしていたはずの君は帰りの電車でいつのまにか眠っていた。
寄り添ってくる温もりに愛しさが募る。
ぎゅっと抱き寄せたくなる衝動を抑えて、読みかけになっている文庫本のページをゆっくり捲った。
またしばらく逢えない日が続くかもしれないけれど。
君を迎えに来れるのは先の話になってしまうけれど
そう遠くない未来にいつかきっと。
左肩にかかる重みと温もりが二人の当たり前になるように。
いまもいつまでも
この愛が打ち寄せる海岸は
広い世界に一つだけ
♪ The Gospellers
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